天国への道

愛を持って、自分の頭で考え、行動していきましょう

前世①

 私の最初の記憶は、生まれる前、死んだ後のものです。死ぬ前のことは覚えていません。私は死んだ後、幽霊になってそこらを彷徨っていました。幾人かと話をし、少しだけ親しくなりました。

 死んだ後の現世はとても危険なところでした。身を守るために霊たちは群れを作っていましたが、私はその群れに入るのを望みませんでした。誘ってくれる霊たちもいましたが。私が興味を持っているのは生まれ変わることでした。

 

「生まれ変わるとしたら、良家がいいな。いい人生が送れる確率が高いだろう」

 私は霊グループのうち一人と話していました。

「無理無理、そういった良いところは全部天界があらかじめ抑えてしまうんだ。警備が厳重でとても入り込めないよ」彼は答えて言いました。

「しかし、だとしたら一度いい人生のループに入った人間はずっとそのままいい人生を送り続けて、僕らみたいな人間はずっとみじめなままじゃないか」

「仕方ないよ」彼は肩をすくめて言いました。「俺たちみたいなのはいわゆる奇跡にかけるしかないのさ。天界が認めるような、善い行いを次の人生でするしかない」

「それで、君はどうするんだ」私は尋ねました。「もう次に生まれる先は決めているのか?」

 彼はあきらめ顔でこう答えました。「まだだよ。じっくり考える」

「しかし、危険だろう」私は再び尋ねました。「このままでいたら、いつ危険な目に合うかわからない」

 実際、そうでした。同じ人間の中にも、他者を顧みないで横暴を働く人間は多かった、そういう人間たちは他者の魂を傷つけることすら何とも思っていませんでした。この世界では規律も警察もありませんから、身を守るのは困難です。群れていても、狙われればひとたまりもないでしょう。彼が無事でいるのはただ単に、運が良かったからにすぎませんでした。それに加え、敵は同じ人間だけではありません。

「そういう輩とうまくやるやつもいるさ。けど、たいてい最後には取って食われる」

 彼はそう言いました。私は彼と別れました。できるだけ早く、次の転生先を見つける必要がありました。人々の中には、恐怖のあまり、たいして吟味もせずにすぐに手近な転生体に入ってしまう人もいます。しかしそれではその後の人生は苦しくなるでしょう。

「僕だって」私は考えました。「まともなところに生まれることができれば、天界に認められるような立派な人生を送ってみせる」

 私は彷徨いました。それほど時を経ることなく、大きな屋敷を見つけることができました。

「ここがいい」私は思いました。

 しかしなるほど、確かにそこに立ち入ることは困難でした。門戸には槍と鎧で武装した、天界の者と思しき兵隊がいました。その家の周囲は常に数名が巡回しており、上空からも数名の兵隊が監視していました。近づくだけでも追い払われました。

 そこで私は、地下から屋敷に入ることにしました。土に潜るのです。これは危険なことでした。下手をしたら、土と同化して戻れなくなります。地上とはまた違った魔物がおり、食われてしまえば一巻の終わりです。それでも私は賭けることにしました。十分距離をとってから地下に潜り、屋敷の地下へ。しかしそこで兵隊に見つかってしまいました。なぜ彼らが私を見つけられたのか、今でも理由はわかりません。私は彼らの追跡をかいくぐり、時に便所の地下など、彼らが嫌がるであろう場所を通過して目標に進みました。

 ここで書いておきます。私がここでいう転生とは、まだ魂の入っていない胎内の新生児の中に自分が入ることです。もともとは天界から来た人間の魂が入るのですから、良い境遇は保証されています。もちろん褒められたことではないでしょう。しかしその時の私は必死でしたし、事態を軽く見ていました。電車の優先席に老人がいるにもかかわらず押しのけて座ってしまうような、その程度のことにしか感じていませんでした。いけないことだけれども、こっちにものっぴきならない事情がある、風邪をひいて熱があってとても立っていられないのだ、しょうがないだろう、と。

「入ってしまった!」兵隊のうち一人が叫びました。

 私は非常にうまくやりました。兵隊たちをかいくぐり、新生児の中に入ることに成功したのです。一度入ってしまえば、無傷で力づくで引っ張り出すことは(私が知る限り)不可能です。私の勝ちでした。

 私は彼らに語りました。ここで転生出来たら天界も認めるような人生を生きて見せる、と。彼らは大変困った様子でしたが、すぐに兵隊のうちの一人、おそらく一番位の高いものが話しかけてきました。威圧したり脅すではなく、紳士的だが堂々とした態度でした。残念なことに、私はその会話の内容を覚えていません。多分、天界のことや、転生を待ち望んでいる人物に関することだったと思います。その人は生まれも良くなかったのに努力して天界に上ったのだ、翻って君はどうだ? そんな内容だったと思います。それならほかの転生体を見繕ってくれだとか、いくつか駆け引きをしましたが、すべて却下されました。私は迷いました。私がやったことは私が認識していた以上によくないことでした。天界で転生を待っていた人はそれが台無しになったと知ればどんな気持ちでしょう。事情を聴くに、この体で生まれてくるはずだった人物と自分の境遇を重ね、申し訳なさに心が凍りました。そして私は、苦労して手に入れたこの体を諦めることにしました。

 この肉体から出ていく、私がその返答を伝えようとしたその時です。

「いいじゃないか、やらせてみよう」いつの間にやら、光り輝く人影が傍らにありました。私はその人影を天使だと思いました(以降、この種の光り輝く人を天使と呼称します)。後にわかったのですが、この天使は、本来の天界からの転生者に寄り添って、その人生を導くために使わされたのでした。彼は反対する兵士たちをうまく宥めてくれました。

「その代わり君は」天使は言いました。「私と一つになり、私の導きに耳を傾けるんだ」これは意味としてはこの内容で合っていますが、もう少し飲み込みやすい、柔らかな言い方だったと思います。

 いくつかの言を交わしたのち、私は了承しました。更にいくつかの会話があったと思いますが、定かではないので省略します。私がこの肉体にとどまることを許して、更には口添えまでしてくれた理由などを話してくれたように思います。かくして私は分不相応とも言える良い転生先に生まれることができました。

 

 人生を諦めたり、辛くて耐えられなかったり、そんな状況、人にはあると思います。ですが私は、今回ここに書いた事柄を総合判断して、自殺(安楽死ではなく、自殺)だけはやめたほうがいいと言いたいです。今はどうかわかりませんが、この頃、戦前の日本に於いて、死んだ後は無法地帯です。自殺を考えるような人は魂が弱っていて休息が必要です。天界に行くような魂は十分な休息を得られますが、思ったよりも天界の門は狭き門です。無法地帯で十分な休息を得ようとするのは更なる傷を魂に抱え込むだけです。そして魂に傷を負うことはとてつもなく苦しく、癒えるのに大変な時間がかかります。元通りにならないかもしれません。もっと恐ろしいことを敢えて言います。生きながらにして魂を奪われる、ということがこの世にはあります。魂を奪われると人は相手の言うことに従わざるを得なくなります。逆らえば魂をねじられ、恐ろしいほどの苦痛を味わわされます。誇張でもなんでもなく、すべてを奪われます。魂を取り戻さない限り、それが永久に続きます。そしてこれは当然ですが、現世、日々の生活にも影響を及ぼします。更に残酷なことに、あなたが生きているから、この程度で済んでいるのです。自殺したとして、あなたが魂を奪われていた場合、あなたはこの恐ろしい苦痛を永久に味わい続けることになります。そしてあなたに利用価値がなくなった場合、彼らは容赦しないでしょう。

 自殺が罪なのは宗教的価値観なので、自殺によって天界の扉が閉ざされるかどうかはわかりません。しかしそれを試すのはあまりにリスクが大きいでしょう。

 苦しんでいる人には酷なことを言います。くるしくて、つらくて、でも。それでも、あなたは今より良くなりたいはずです。生きているうちに、今より良くなってください。

最初に

 ひどい状況にいる人、いませんか? 

 

 私がこのブログで書いていくのは、普通では考えられない、いわゆる超常現象的な事柄です。

 

 ほとんどの人が信じられないことでしょう。しかし、ひょっとしたら、苦しんでいる人の一助になるかもしれないと考え、今ここでこのように文章を書き連ねています。

 

 私には過去の、いえ、前世の記憶が朧気ながらにあります。それを、時系列順にここに書き連ねていくつもりでいます。はっきりここで宣言しておきますが、おぞましいことも書くつもりでいます。皆さんには信じられないようなことも。

 

 そして、私もまた多くの人々と同じように、困難の中にいることも記しておかねばなりません。現状を伝え、同じような境遇の人々と力を合わせることによって、この困難を打破できたらとも考えています。

 

 最後に、私が伝えたい最たることは、様々な理由があってこの世界に生まれてきた私たちは、他者を愛し、この世界を謳歌し、自己を成長させ、世界をより良い方向へとつなげていく、そのために生まれてきたのだということです。

 

 私の先生(この先生については、後に詳しく触れることにします)の言葉で最初の一ページを締めくくります。

「皆さん、この人生を楽しんでください」

それでは、あなたに神のご加護がありますように。