天国への道

愛を持って、自分の頭で考え、行動していきましょう

天国で②

 私は天国で何人もの人たちの転生に立ち会いました。私は力が強かったので、あちこちから引っ張りだこでした。私は大抵補佐としてグループに入り、何か危険があったときには力のほとんどすべてを使って助けました。力も使っていくうちに成長して、最初は他の人と変わりませんでしたが、次第に強くなり、回復速度も増していきました。

 僕は他の人とは違った考え方を持っていました。他の人は転生者の選択を尊重して、その後転生者がひどい目にあってもよっぽどでない限り助けませんでした。しかし私は、転生者の選択如何に関わらず、その後に悔恨を齎しそうなひどい状況ならば助けるようにしていました。

 転生者はよっぽどのことがない限り、再び天国に戻ってきます。その人生によっては、天国に着くなり、人目を憚らず泣き出す者もいました。私に対して自分の過ごした人生の不出来を押し付けて恨む者もいました。さすがに他の人に諫められていましたが、これには私もびっくりしました。私は他のグループで転生者を見守っている最中で、彼には関係すらしていなかったからです。こういう人も天国にはいます。

 そんなこんなで私は天国でずっと暮らしていました。ある日、先生が私を呼び出しました。

「なぜ、転生しないのですか?」先生はおっしゃいました。

「力が溜まらないのです。何せ、見守っている間に力を使い果たしてしまうので」私は答えました。

 先生は、転生するチャンスを逃さないように、転生者を助けるのも大事ですが自分のことをもっと考えるように、と私を諭しました。私は今約束している転生者の守護を終えたら転生することを約束しました。

 幸いなことに、その時に私が受け持った転生者は、人生においてほとんど危険に合うことがありませんでした。私は数回、力の10%程度を使うだけで済み、転生者の人生が終わったときには力を十分に蓄えていました。私は先生に準備ができたことを告げました。